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ココ の ブログ

リンゴ(3)

リンゴ(3)

 林檎で想い出すのは何も昔の記憶ばかりではない。数年前、家の直ぐ近くの老人病院がケア・ハウスを建てた。円形の4階建ての建物で丘の中腹に在るから見晴らしが良い。その1階のレストランから食事をしながら団地の全景が見渡せ、その向こうに二上山が浅間山の様に丸くボタ餅のように観える。二上山は、奈良と大阪の県境に在ってラクダの背の形をした二つのコブが並んでいるのが大阪と奈良の東西方向から観える。が、ケア・ハウスからだと直ぐ目の雄山がそびえているだけである。ケア・ハウスは二上山の北側に在るから低い方の雌山は雄山に隠れて観えないのだ。その建物の名前をアップル・ハウスと言い、林檎と言えばこの建物を想い出すのだ。この名前の由来は以前にも書いたが、マルチン・ルターの有名な言葉の中から付けられた。

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 繰り返しになるのでひつこく聴こえるだろうから彼の言葉だけを記しておけば「たとい明日、世界が終ろうとも、私は林檎の木を植える」というものだ。ボクは軽井沢に別荘を建てる仕事で信州に行った際、佐久でコーヒーを飲もうと喫茶店に行くと、前の庭に林檎の木があって林檎が生っているのを観て感激した事があった。関西に住んで居ると林檎の木なぞ全く見当たらず、勿論、花も実も実際に木の枝にあるのを知らないから夢を観ている様な気分だった。林檎の木に実が生っている光景だけでメルヘンチックな気分に成れたのだ。林檎というイメージは様々な事を連想させてくれる。子供時分、トラックで産地直送だと偽って売りさばいていた業者の光景、母が「朝の林檎は金の林檎」と言って剥いてくれた林檎、病気をしている時に見舞いで貰った果物駕籠の林檎などだ。

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 そう言えば、東京に単身赴任していた頃、林檎を買い過ぎて余ったので林檎ジャムを作った事があった。その頃、筑波万博を一緒に観に行こうと妻と息子が上京して来て、そのジャムをパンに付けて食べた二人が「美味しい」と言っていたのを想い出す。素直な子供だった息子が今では親に反抗ばかりして35歳にもなって独身のまま家にしがみ付いている。彼なりに何か悩みでもあるのだろうが、息子の年齢の頃は、ボクはサラリーマンで毎日忙しくしていたものだ。子供が出来、家を建て、仕事とゴルフに明け暮れていた。帰宅は深夜タクシーだった。今時の若者は家を建てるという目標が無く、建てなくても親の家に住みついていれば良いという小市民的な生き方が主流の様だ。大学院を出ても気に入った就職先が見付からず、アルバイトで小遣い稼ぎをする有様なのだ。

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 時代が変わったと言えばそれだけの事だ。人々の生き方や目標も変わって当然だろう。しかし、時代を無視出来ないにしろ、時代に振り廻される生き方が正しいのかどうか疑問にも感じない生き方に納得しているというのが分からない。ボクなんか何時も時代に反発して生きて来た。その為に挫折も多かった。想う様に行かないのが当たり前だった。それでも何とか目標の半分は達成できるだろうと想いながら生きて来たのだ。だが、そういう生き方が今の時代はダサイとされる。要領をかますと言うか、労せず目標に達する方法ばかりを考え自分の実力が分からないまま先走ってしまうのだ。実力は思考と経験の積み重ねである事を忘れているらしい。経験には時間が掛かるという簡単な事が分からないのだ。「頑張れ」と言うべきではないと人は言う。それが本人にプレッシャーになるからという。

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 そんな甘ったるい事で若者が一人前に育つと想って居るのだろうか。自分が経験した苦労を若者(我が子)にさせたくないという間違った親心が若者の足を引っ張っている事に気がつかない馬鹿な親が増え過ぎた。金で何でも解決するという金に万能の力を見出そうとする誤った思考が人々の目を曇らせているのである。先の東北大震災で復興の為の対策として、人心の荒廃を無視して金さえ出せば簡単に復興なぞ出来ると思う馬鹿な政治家が増税を考える。精神的に参っている人々が心の支えとする安心なり勇気を与える政策を考えようともせず、金集めばかり画策して挙げ句に何もしないのだ。更に悪いのは福島原発の根本的解決策を提示しないまま直ぐにも原子炉の冷却効果が現れ、次なる段階に入れると嘘の目標計画を無責任にも発表する始末だ。

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 核燃料がメルトダウンしているのに、それを除去も出来ずに何が次の段階に入れると言うのだ。根本からして間違っている。素人の国民なぞ簡単に騙せると思っているらしい。時間が経って行くばかりで東北地方は復興どころか寂れた田舎町、若しくはゴースト・タウンに成ろうとしてる。東北出身の政治家は何をしているのだ。東北だけでなく全国の政治家が真剣な目で日本の今置かれている立場を見詰めていないのである。だからこそ、馬鹿な親が増え続けるのだ。政府に任せておけば何とかするだろうという馬鹿な考えが国を滅ぼすのである。TPPもそうだ。国の内外で大変な事が起きている時代に、火中の栗を拾うのが嫌だとする内閣なぞ早く総辞職して出直すべきである。何が消費税を今後9年以内に10%迄引き揚げると国際公約したと馬鹿はほざくのか。国民の同意も得ずに他所で良い格好ばかりする馬鹿内閣は早晩潰れるだろう。(つづく)

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